かの書房がゆく!

札幌市豊平区に2019年3月18日(月)オープンの新刊書店「かの書房」です。本屋さんからのお知らせなどを書いていきます。

「北の出版人」イベントに行ってきました。

暖かいかも…?と思ったら寒くなる今日この頃。

冬用のコートをしまっていいのか悩むかの書房です。こんばんは。

 

本日はお店を一時閉めて「北の出版人本気&本音トーク」へ行ってきました。

何を思ったのか白石駅に向かい、徒歩10分で到着、地下鉄に乗ってから札幌駅に止まらないことに気づいて涙目になりつつ、15分ほど遅れて会場の札幌駅そば紀伊国屋書店さんへ。

席は結構埋まっていました。

後ろの方に座ったので、若干聞こえないところもありましたが、レポート的なまとめ、書いてみます。

 

まずはご登壇の6社(亜璃西社・共同文化社・柏艪舎・北海道新聞出版センター・寿郎社北海道大学出版)が自社おすすめのタイトルを発表。

 

亜璃西社「南極あすか1987」高木知敬 著

共同文化社「エゾナキウサギナキウサギふぁんくらぶ写真集

柏艪舎「海わたる聲」中尾則幸著

北海道新聞出版センター「樹の人」瀧口政満 著

寿郎社「フチの伝えるこころ」計良智子 著

北海道大学出版「病原細菌・ウイルス図鑑」新居志郎(代表)編集委員

 

そしてそれぞれを別な出版社さんの方に読んでもらい、率直な意見をもらっていました。

 

亜璃西社「南極あすか1987」高木知敬 著

→最高でもマイナス20度より暖かくならない環境。改めて現場の過酷さを知った。

 

共同文化社「エゾナキウサギナキウサギふぁんくらぶ写真集

→かわいい!ぜひ買うべき!本物は現地でしか会えないから、一目見に行ってみたくなった。

(エゾナキウサギは家庭では飼育できない生き物なんですって)

 

柏艪舎「海わたる聲」中尾則幸著

→ノンフィクションと言えば柏艪舎さん!というようなさすがの一作。

 

北海道新聞出版センター「樹の人」瀧口政満 著

→この中身でこの値段、安っ!コラムの中に編集作業にも通じるものがあって、自分の編集としての姿勢を考え直すきかっけになった。

 

寿郎社「フチの伝えるこころ」計良智子 著

→とても読みやすい!英語版もついてるけど英語必要かな?

担当編集さん:アイヌ文化に興味を持っている外国人の方も増えてきているし、お土産屋さんに置いてあったらいいなという思いを込めて英語付きにした。

 

北海道大学出版「病原細菌・ウイルス図鑑」新居志郎(代表)編集委員

→150名ほどの人数が関わっているとかすごすぎる。専門家には決して高くないお値段といえるクオリティ。

(お値段なんと6万円。そして本体は4キロ超えのボリューム)

 

そしてここで、ちょっと時間押してます…と司会者さんの苦笑いが入りつつ「3年後、5年後どんな出版社・出版業界にしたい?」という質問へ。

 

・売れる!と思って作っても「思いのほか…あれ…?」ということが起こる業界。時代に合わせて、本のつくり方も考えていかなくてはいけない。当事者みんなで考えていきたい。

 

・読者にどう届けるか?「こんな本出てますよ!」という機会をもっと作って、本の魅力を伝えていきたい。

 

・北海道に根差した情報の発信を絶やさないようにしたい。会社がどうこうというより、もっと同業者で協力し、別の会社の情報でも届けていかなくてはいけない。

 

・やっぱり厳しい(ネガティブな発言は控えめにとクギを刺されていたらしいので申し訳なさそうに)。でも、記録として本を作る人が増えてきているし、書籍として形に残せることは仕事の誇り。続けていきたい。

 

・若手編集者さんたちの活躍を刺激にして、今後も続けていきたい。

 

・道内の編集者は多くないので「こんなときどうしたら…!」という相談相手がいないのが心細い。最近できた出版社同士の横のつながりが心強いので、大事にしていきたい。

 

というような意見が出て、今後もこういうふうに出版人の集まるイベントをやっていきたい!というまとめで終了しました。

 

 

「店を閉めてまで行くことか?」「お店閉めて大丈夫?」

というようなお声もありましたが、出版社の編集さんの声・本にかける思いは直に聞いてみないとわからないものです。

そして札幌市内の出版社さんは少数精鋭で運営されていることが多いので、皆さんお忙しい…そんな中で「編集さんの声が直に聴ける」会はそうそうあるものではないのです。

こんな思いで、こんな苦労をして本を作っているんだ…!と感じられると、その出版社さんの本を置いてみようかな。次はどんな本出すのかな。なんて、気になってしまいます。

編集さんの顔が見えているから「あ、気になったこれ発注しよう」というアクションにつながり、お店の本棚に誰かに刺さるかもしれない一冊が増えることになるのです。

 

お店に来ていただく方、本当に申し訳ありません。

もう一人でも人がいればお店を開けたまま行けるのですが、あいにく人員はひとりのため、お店を閉めてイベントに、勉強会に…ということが今後も起こるかと思います。

出版業界を知る、出版社・編集さんの声を聞くことで急に何かが変わるわけでもないのですが、ふとした時の引き出し用に、私はあっちこっちに出かけていきます。

なるべく事前に告知していきたいと思いますので、「ここはそういう本屋なんだ」とご理解頂けますと幸いです。